この記事の結論
- 最初の1本は右利き用ギターをそのまま(通常の向きで)弾くのが、上達スピード・費用・試しやすさの面で現実的
- 標準の構えでは、コードを押さえる複雑な指の動き(フレッティング)を利き手の左手が担当できるため有利になりやすい
- 右利き用を上下逆さに持ち替えて弦を張り替える方法は、ナット溝の幅や弦高が合わなくなり、専門店での調整が必要になることが多い
- それでも専用モデルを選ぶ場合、価格は右利き用よりやや割高になりやすく、店頭在庫はほぼ期待できないため取り寄せが基本になる
楽器と左利きについての記事では、楽器ごとのモデル選びまでは踏み込まず、専門ブログや楽器店への相談を案内する立場を取ってきました。
この記事ではその中でも特に相談の多い「ギターを右利き用のまま弾くか、専用モデルを選ぶか」という一点に絞り、実際の仕組みや費用まで踏み込んで整理します。
1. 結論:最初の1本は「そのまま弾く」のがおすすめ
左利きの人がギターを始めるとき、多くの人が最初に「専用モデルを買うべきか」で悩みますが、結論から言うと最初の1本は右利き用ギターをそのまま(通常の向きで)弾いてみるのが現実的な選択です。
理由は大きく3つあります。
1つ目は、コードを押さえる複雑な指の動きを利き手である左手が担当できるため、上達のスピードが速いという意見が多いこと。
2つ目は、右利き用ギターは価格帯も選択肢も豊富で、友人や家族から借りて試すこともでき、始めるための費用と手間が圧倒的に少なくて済むこと。
3つ目は、後から専用モデルへ切り替える判断も、実際に数ヶ月弾いてみてからのほうが精度高く下せることです。
この判断は一度決めたら変えられないものではなく、まずは費用の少ない選択肢から試して、後から見直せばいいくらいの気持ちで始めて構いません。
2. 運指を利き手が担当できる、上達スピードの理由
ギターは片方の手でコードを押さえ(フレッティング)、もう片方の手で弦をはじく・かき鳴らす(ストローク・ピッキング)という役割分担で演奏します。
標準の構えなら、フレッティングを利き手の左手が担当する

逆に「持ち替え」を選ぶと、ナット溝や弦高の調整が必要になる
右利き用ギターを上下逆さに持ち替え、弦の並びだけを左利き用に張り替える方法(ジミ・ヘンドリックスが右利き用のストラトキャスターをこの方法で弾いていたことで知られています)を選ぶと、運指の役割分担はそっくり入れ替わります。
フレッティングを非利き手の右手が担当し、ストローク・ピッキングを利き手の左手が担当する構成になるため、コード習得のスピードという点では不利になりやすい組み合わせです。
さらに構造上の問題もあります。
ギターのナット(弦を支える溝がついたパーツ)は、太い弦・細い弦それぞれに合わせて溝の幅が調整されており、弦の並びをそのまま逆にすると、太い弦が細い溝に収まりきらず、弦の高さ(弦高)も本来の設定からズレてしまいます。
こうした調整をせずに使い続けている人もいますが、正しく弾きやすい状態にするにはリペアショップでナット溝の彫り直しやサドルの調整を依頼するのが一般的で、既存ギターの流用といっても無償で済むわけではありません。

3. 教則本・コード表も「そのまま弾く」ほうが直感的に読める
運指の習得スピードだけでなく、日々の練習で使う教材との相性も見逃せないポイントです。
市販の教則本・コード表・オンライン教材のイラストや図解は、そのほとんどが右利き用ギターを通常の向きで構えた状態を基準に描かれています。
右利き用ギターをそのまま弾く人にとっては、この図解を見たままの向きで再現すればよいだけですが、上下を逆さに持ち替えた人にとっては、図解の左右を毎回頭の中で入れ替えて読む必要が出てきます。
「コードを1つ覚えるたびに変換作業が挟まる」というもどかしさは、独学で続ける上で地味に大きな負担になります。
左利き専用に図解・写真を作り直した教則本も一部存在しますが、右利き用に比べると種類が限られます。

TAB譜(弦の並びをそのまま数字で表した楽譜)も同様に、紙面上の弦の並びをそのまま指に対応させる設計になっており、上下を逆さに持ち替えた人はここでも都度変換が必要になります。
YouTubeなどの弾き方解説動画も右利き奏者によるものが大半のため、教材との相性という観点でも「そのまま弾く」ほうが独学しやすいというのが実情です。
4. それでも専用モデルを選ぶ人がいる理由と、選ぶ場合の注意点
運指の習得スピードという点だけを見れば「そのまま弾く」ほうが有利ですが、それでも専用モデルや持ち替えを選ぶ人は少なくありません。
ストローク・ピッキング側を利き手に任せたい人もいる
ストロークやピッキングは単純な動きに見えて、実際にはリズムのキープや強弱の付け方、フィンガーピッキングでの細かい弦さばきなど、こちらも高い表現力が求められる作業です。
「コードを速く覚えたいか、リズムやタッチの表現力を利き手に任せたいか」という優先順位の違いが、選択を分ける一番の分かれ目になります。
左利き専用モデルの価格差・入手性
左利き専用モデル(レフティモデル)は、右利き用と比べて追加料金(アップチャージ)がかかり割高になるメーカーがある一方、同額で販売しているメーカーもあり、対応はメーカー次第です。
共通しているのは、楽器店の店頭在庫は右利き用よりも圧倒的に少なく、気に入ったモデルの左利き用は取り寄せが基本になるという点で、納期に数週間〜数ヶ月かかることも珍しくありません。
レッスン・体験教室でのレフティ対応状況
音楽教室のレンタル楽器や体験レッスンで用意されているギターも、右利き用が中心です。
左利き専用モデルで習いたい場合、教室にレフティ用の貸出楽器があるかを事前に確認しておく必要があります。
持参が必須の教室もあるため、体験レッスンの予約時点で確認しておくと当日困りません。
5. まとめ:考え方はベース・ウクレレにも応用できる
ここまで整理した「フレッティングを利き手が担当できるかどうか」という考え方は、ギターに限らずベースやウクレレなど他の弦楽器にも応用できます。
ベースはギターと同じ役割分担(フレッティングと弾弦)で演奏するため、基本的な判断基準は共通しますが、左利き専用モデルはギター以上に流通量が少なく、価格差も大きくなりやすい傾向があります。
ウクレレは弦の本数が4本と少なく、張り替える弦の数自体は減りますが、持ち替えるならナットやサドルの調整・交換が必要になる点はギターと同じです。
総合的に見ると、まずは右利き用ギターをそのまま弾いてみて、数ヶ月続けても構え方に強い違和感が残る場合に持ち替えや専用モデルを検討するのが、遠回りをしない現実的な進め方です。
楽器のモデルごとの細かい選び方については、専門ブログや楽器店への相談をおすすめしています。
ギター以外の楽器全般の考え方については、あわせて次の記事も参考にしてください。
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