この記事の結論
- 給食の配膳(ご飯・汁物・箸の位置)は利き手と無関係な全員共通のルールで、左利き用に変える慣習はない
- 給食で隣の子と肘がぶつかりやすいのは箸を使う動作そのものが原因で、座席の配置を工夫すると軽減できる
- リコーダーは左手を上・右手を下にする持ち方が全員共通で、両手とも複雑な運指をするため左利きが特に不利になるわけではない
- 鍵盤ハーモニカは右手で鍵盤を弾くのが標準だが、卓奏にすれば長めのホースで両手が自由になり、左手も使って弾ける
- 図工の彫刻刀は押す方向、カッターナイフは定規を押さえる手が右利きの子と逆になるため、力の入れ方と道具の配置を意識し直す必要がある
これまでの記事では、入学準備で確認すべきことや、矯正しない前提での家庭の工夫を扱ってきました。
この記事では、家庭ではなく「学校の授業中」という具体的な場面に絞って、給食・音楽・図工の時間に左利きの子がつまずきやすいポイントを整理します。
なお書写(習字)については別の記事で深掘りしているため、この記事では軽く触れる程度にとどめます。
1. 給食の時間、配膳と箸の使い方
配膳位置は利き手と無関係な共通ルール
和食の基本的な配膳では、ご飯を左、汁物を右、箸を手前に置くのが一般的なマナーとされています。

隣の子と肘がぶつかる問題は座席配置で対応
給食の困りごととしてよく聞かれるのは、配膳そのものよりも、箸を使う際に隣の子と腕や肘がぶつかりやすいことです。
これは家庭での食事の座り方と同じ理屈で、右利きの子の左隣に座ると、お互いの利き手側の腕が向き合ってぶつかりやすくなることが原因です。
学校の座席は授業の都合で毎月のように入れ替わることが多いため、家庭のように固定した対応は難しいのが実情です。
それでも、給食のときだけ端の席にしてもらう、机の島の並びを配慮してもらうといった相談は、担任の先生に伝えておく価値があります。
2. 音楽の時間、リコーダー・鍵盤ハーモニカ
リコーダーは左手上・右手下で固定、左利きでも不利になりにくい
リコーダーは、左手を上(高い音の穴側)、右手を下(低い音の穴側)にして持つのが、学校で教わる共通の持ち方です。
この持ち方は右利き・左利きに関係なく全員が同じ形で教わるもので、左右を逆にして吹くことは想定されていません。
リコーダーは左手も右手も同じように複雑な運指を求められる楽器のため、片方の手だけに大きな負担が偏るギターのような楽器と違い、左利きだからといって特に不利になるわけではないとされています。
鍵盤ハーモニカは右手鍵盤が標準、卓奏という選択肢
鍵盤ハーモニカ(ピアニカ)は、右手で鍵盤を弾き、左手で楽器本体を支えながら、ホース(吹き口)を唇で軽くくわえて吹くのが標準的な構え方です。
「左手で鍵盤を弾きたい」と思っても、市販されている鍵盤ハーモニカに左利き専用モデルはありません。
楽譜自体が右手主体で作られていることや、市場の需要が少ないことが理由とされています。
対応策として、吹き口を長めのホースに交換し、机の上に置いて演奏する「卓奏」の形にすれば、鍵盤配置自体は変わりませんが、両手が自由になるため左手主体で弾くことも可能になります。
ただし学校の合奏では周りと持ち方が異なることで戸惑う場面もあるため、変更を試す場合は事前に担当の先生に相談し、周りと合わせる必要がある場面かどうかを確認しておくと安心です。
3. 図工の時間、道具の向きと彫る方向
彫刻刀・版画、彫る方向が逆になる
版画で彫刻刀を使うとき、利き手と反対の手で版木を押さえながら、刃を手前から奥へ押し出すようにして彫り進めるのが基本の動かし方です。
この「手前から奥」という感覚は右手が利き手であることを前提にしたもので、左手で彫ろうとすると力を入れやすい押す方向が右利きの子とは逆になり、右利きの先生の手本をそのまま真似ようとすると刃の入る角度がつかみにくくなります。
彫刻刀を持たない方の手は刃の進む先に置かないという安全上の基本は左右どちらの利き手でも同じですが、左利きの場合は押さえる位置を右利きの子と逆側に意識し直す必要があるため、最初のうちは特に注意が必要です。

カッターナイフと定規、押さえる位置が変わる
カッターナイフで直線を切るとき、右利きは定規を左手で押さえ、右手のカッターを手前に引くのが基本の使い方です。
左利きの場合は定規を右手で押さえてカッターを左手で操作することになりますが、教科書の図解をそのまま真似て定規を紙の左側に置いてしまうと、定規がカッターを持つ左手側に来てしまい、刃を入れる手元が定規の陰になって見えにくくなることがあります。

裁ちばさみ・絵の具パレット、共有道具で気をつけたい点
家庭科で使う裁ちばさみ(布切り用ばさみ)も、一般的なはさみと同じく上下の刃が右手で握る前提で重なっており、左手で握ると刃の合わせ目に余計な力がかかって布の切り口がガタつきやすくなります。
絵の具のパレットも、絵皿の並びや筆置きの位置が右手で扱う前提で配置されていることが多く、左手で筆を持つと利き手側に置いた筆置きへ手を伸ばす動線が窮屈に感じられることがあります。
図工の時間に使う彫刻刀・はさみ・カッターナイフといった道具選びについては、【入学準備】左利き用はさみ・彫刻刀・カッター、学用品リストで価格帯や学年別の目安をまとめているので、あわせて確認しておくと安心です。
のりやテープカッターなど、クラスで共有する道具は右利き用にセットされていることがほとんどです。
個人持ちの道具ではないため無理に左利き用を探す必要はなく、扱いにくさを感じたらその場で先生や周りの子に伝えるくらいの気持ちで十分です。
4. 場面別早見表
ここまで見てきた場面を、全員共通のルールかどうか・家庭や本人でできる工夫・先生に相談すべきかどうかの3つの軸で整理すると、次のようになります。
| 場面 | 全員共通のルールか | 家庭・本人でできる工夫 | 先生に相談すべきか |
|---|---|---|---|
| 給食 | はい(配膳位置は共通) | 箸を使う際に肘がぶつかりにくい座席を意識する | 座席配置に困ったときのみ |
| リコーダー | はい(持ち方は左右共通) | 特別な工夫は基本的に不要 | 相談の必要性は低い |
| 鍵盤ハーモニカ | いいえ(右手鍵盤が標準) | 卓奏用に長めのホースへ交換すれば左手主体でも弾ける | 合奏で持ち方を変える場合は事前に相談 |
| 彫刻刀(図工) | いいえ(彫る方向・押さえ方が逆になる) | 版木を押さえる手の位置を意識して練習する | 安全面が不安なら早めに相談 |
| 書写 | いいえ(運筆が右利き前提) | 半紙の角度・下敷きの向きを調整する(別記事参照) | 困りごとが続く場合は相談を |
こうして並べると、給食やリコーダーは「共通ルールのまま気にしすぎなくてよい場面」、鍵盤ハーモニカ・彫刻刀・書写は「工夫や事前の相談が効いてくる場面」だと見当がつきます。
5. 先生に伝える・相談するときのポイント
学校生活での配慮は、担任の先生だけでなく、音楽専科・図工専科など教科ごとに先生が分かれている場合もあります。

クラス替えや担任の交代のたびに一から説明する負担を減らすには、「左利きであること」と「困りやすい場面」を簡潔にまとめたメモを毎年使い回すのがおすすめです。
小学校高学年になると、音楽・図工・家庭科などで教科担任が分かれる学校が増え、担任の先生に伝えただけでは専科の先生まで情報が届かないことがあります。
実際に伝えるときの文面としては、連絡帳や個人面談で担任に「音楽と図工の先生にも共有してもらえますか」と一言添えておくと、教科ごとに一から説明し直す手間を減らせます。
学年が上がり教科担当が入れ替わるタイミングでは、前年と同じ要点をもう一度簡潔に共有し直しておくと、引き継ぎの抜け漏れを防げます。
6. まとめ:場面ごとに「変えられる」か「工夫で対応する」かを見極める
給食の配膳や箸の位置は利き手と無関係な共通ルールで、座席の工夫で困りごとを減らせます。
リコーダーは持ち方自体が全員共通で大きな不利はなく、鍵盤ハーモニカは卓奏にすれば左手も使えることを知っておくと選びやすくなります。
図工の彫刻刀やカッターナイフは、力を入れる方向や道具を押さえる手が右利きの子と逆になるため、事前に動かし方を知っておくと安全に取り組めます。
学校生活の場面は「変えられること」と「工夫で対応すること」が入り混じっているため、最初に見極めておくと余計な戸惑いを減らせます。
入学準備や家庭での工夫については、あわせて次の記事も参考にしてください。
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